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オレとタドコロユカは、並行して道を歩いた。どちらが上とか、どちらが下とか関係ねえ。ふたりは対等で、互いの背中を預けられる信頼がある。一方が媚びる必要はねえ。戦士と戦士。王と女帝。いずれかのピンチには助けに入る。そうさ。オレたちは真の友だ。
電灯の光の下、二丁目の空地へ向かっていると、電柱の陰から、見慣れた犬ッころが現れた。中吉の野郎だ。首に巻いた真っ赤なスカーフが、微風に泳いでいる。
「ワンワンッ(先生、お供します。あの黒猫を倒すんでしょう。僕もあいつに借りがありますからね。今夜はギャフンと言わせてやりましょう)」
中吉の背中には、子ども用のバットがくくりつけられている。ははん、飼い主が遊びでやったんだな。それでこいつは黒猫を倒せる気になったってわけだ。だが中吉よ、てめえどうやってそのバットを握るつもりだい。単なる飾りにしかならねえじゃねえか。
「ナア(ついてくるなら、足手まといにはなるなよ。今夜の戦は命を懸けたモンだ。てめえが泣き叫んだって、助けてやることはねえからな)」
中吉は、カールした尻尾をぶんぶんと激しく振った。
「ワンワンッ(足手まといになるどころか、一番槍を務めますよ。先生の進む道を僕が切り拓きます。雑兵をすべて蹴散らしますから安心してください)」
はて、あの黒猫は手下を連れて来ていたっけか。まあ、心意気や良しだ。最悪の場合、逃げ回るこいつを囮してオレの作戦を遂行すればいい。
「ナア(では行くぞ。遅れを取るなよ)」
子分を連れ、さらに二丁目への道を進む。しばらく行くと、また電柱の陰から、灰色の猫が現れた。『すれっからしのダン』だ。人相が悪く、額に三本の傷がある。
「ンナアオ(大将、お供しますぜ。この町を守る戦を他人事にはできねえでっせ)」
こいつはオレを守護する四天王の一角だ。打たれ強くて根性もある。共に来てくれれば心強いことこの上ない。
「ナア(ダンがいれば勝率は上がる。期待してやる。では行こう)」
子分を二匹連れ、さらに二丁目への道を進む。しばらく行くと、またしても電柱の陰から、白ぶちの猫が現れた。『切り裂きジャック』だ。こいつは常に伸びた爪を出している。
「ニャオ(大将、このジャックにも一枚噛ませてくださいや。この爪が疼いてるんでさ)」
こいつも四天王の一角だ。斬撃に関しては、オレすらも凌駕する。チームの攻撃力を上げるには十分な逸材だろう。
「ナア(ああ、ジャックは来てくれると信じていた。期待してやる。では行こう)」
子分を三匹連れ、さらに二丁目への道を進む。しばらく行くと、またしても電柱の陰から、巻き毛の猫が現れた。『裏切りのレオン』。へらへらしているが、恐ろしい奴だ。
「ミャオ(大将、おいらを忘れちゃ困りますよ。防衛戦は総力戦でしょう)」
レオンは元々人間に飼われていた。だが、飼い主に馴染めず、ガラスの窓を突き破って脱走した猛者だ。こいつは思い切りがいい。智謀に長け、何食わぬ顔で敵を欺く。
「ナア(無論、おまえのことは忘れてないさ。存分に働いて、オレの剣となれ)」
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