鬼多見奇譚余話 猫のいざない

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 目覚ましが鳴り、朱理は目蓋(まぶた)を開いた。   あれ……?  見慣れた天井が視界に入る。朱理は身体を起こして目覚ましを止めた。   ここ、わたしのベッドだ……  朱理が居るのは自分の部屋にある二段ベッドの上の段。つまり、いつも寝ている自分のベッドだ。   夢、だったの?  いやにハッキリとした夢だった。白猫に導かれ、猫しか居ない町に行く。しかし、最後の方は(ほとん)ど覚えていない。  ふと、右手の甲に視線を落とす。そこには何かにで引っ掻いたのような跡が薄らと残っていた。  そうだ、猫に引っかかれて……  しかし、もっとハッキリとした傷だった。たった数時間でこんなに回復するとは思えない。   それに、わたしを助けてくれたのは……  朱理は勢いよく頭を振った。いつまでも夢のことを考えてはいられない、今日も学校はあるのだ。
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