宋さんの友だち

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彼がいなくなってすぐだった。 「四季、そのままだ。後ろを見るなよ」 蜂谷さんが目をつり上げて僕の背後を睨み付けた。 「鴨が葱を背負ってきた。警護は手薄だし、四季を拉致するには好都合だってだろう?姑息な手を使い昴や真山や若林を利用した。それだけじゃない。お前らは大勢の無関係な人間を巻き込んだ。俺はそういう卑怯な輩が大嫌いなんだ」 ここにいないはずの卯月さんの声が背中のほうから聞こえてきたからどきっとした。 「菱沼組の若いのはみな血の気が多い。俺の大事な身内である四季に傷ひとつ付けてみろ。たとえそれが現役の警察官でも容赦しない」 「やかましいわ!」 ナイフのような鋭い声が返ってきた。 この声は確か若井さんだ。 「宋のマブダチがどっかに隠れているんだろう?聞いた話しでは自分の手は決して汚さない。汚れ仕事はすべてお前らにやらせる、最低最悪なヤロウだっていうじゃないか」 卯月さんは怖いくらいに落ち着いていた。
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