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パーティー会場 大広間。
俺は戦々恐々としていた。
というのも……。
(あっちにいるのは西の嵐と呼ばれるストーマー……!向こうは売り出し中の、毒の手品師シルキー……‼︎)
ざっと数えただけでも50人──50人もの名だたる殺し屋の面々が、なぜか勢揃いしている。
(帰りたい……)
そもそもなぜ殺し屋が集まるこのパーティーに自分がいるのか。それは、一通の招待状から始まった──。
俺は情報屋。その界隈では「鮫」と呼ばれている。
自分で言うのもなんだが、若いが実力があり人気鰻上り中の売れっ子だ。
そんな俺だから、ほら──客が来た。
「お前さ、暇になると出る、その変な独り言……いい加減直せよ」
「ほっとけ」
来たのは常連客で、数少ない旧友でもある。
俺は机に足を乗せ、貧乏ゆすりをしつつ天井を見上げる。
「で、何が知りたい? ネタは結構仕入れてあるぜ」
旧友は顔を顰めながら、胸ポケットから一封の封筒を取り出した。
「ラブレターか?」
「そんなんじゃない……」
ただならぬ雰囲気に、思わず居住まいを正した。
旧友は丁寧に封筒から一枚のカードを取り出し、俺の足の隣に置いた。
カードを手に取ってみると──それは招待状のようだった。
「“新月の晩、心躍る未知の体験わあなたへ──
夜の月 人魚より”……なんだこれ?」
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