1 『就活とは、おっぱいである』

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「日本は男尊女卑の国だからね〜遅れてんのよ」 生姜焼き定食を食べながら、マナはため息を漏らした。 「愚劣な男どもは、女の優劣なんてでしか判断できない、能なしの集まりなの。欧米じゃ絶対そんなバカなことしないよ。欧米じゃの大きさで女を判定したりしない。その点、女経営者は賢明よ。女は物事の本質が分かってるから、で物事を判断しない。賢明な女経営者にはは逆効果だよ。コイツばっかりで中身がないって見抜かれるからね。でも女経営者が活躍できるのはやっぱり欧米なのよ。あーもー!ほんとに!」 まあまあ混み合う食堂で、でっかい声でおっぱいと連呼するマナ。私達の斜向かいに座っている男子の一団が、好奇の眼差しで私達を見ていた。彼女は去年、アメリカに留学してからやたらと『欧米では〜』とか『欧米じゃ〜』と言う。そしてやたらとフェミニズムを語るようになった。たった2週間のホームステイで彼女は一体何を学んできたのだろう?しかし海外経験ゼロの私は、とりあえず素直に相槌を打つことにしている。 「だからね、国内の企業はダメ。狙うなら外資系、絶対外資系」 呪文のようにブツブツ外資系と呟くマナを見て、正直、なに言ってんだコイツ?と思っていた。 完全にただのやっかみじゃんか、そう思っていた。
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