4 『誰』のため?

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…違う!思ってない!絶対そんなこと思ってないんだ!ちょっと優しくされただけでコロっといくほど、私はちょろい女じゃないんだ! 当真さんってけっこうカッコいい…なんて1ミクロンも思ってない!落ち着け、落ち着くんだ私!こういう時はハネさんの顔を思い出して切り抜けるんだ!キング・オブ・イケメンのことを思い出して、バール・オブ・ザ・イヤーのことなんて頭から叩き出すんだ! わちゃわちゃと考えながら頭を抱える私。頬が熱い。キンキンに冷えたアイスミルクティーを頭からぶっかけたい気分だ。 だけど、なんで当真さんがハネさんと同じくらいの業績を上げているのか、その理由がやっと分かった気がする。 誰よりもお客様のことを考えているからこそ、お客様のためなら喧嘩することも(いと)わない当真さん。だからこそ、お客様から信頼されるんだ。そう考えたら、少しだけ、ほ〜んの少しだけ、当真さんのことが好きになれそうな気がした。 しかし、当の当真さんは、コロコロ表情が変わる私を見ながら、怪訝な表情でこう吐き捨てた。 「なんだボケナス?潰れたメロンパンみたいな顔しやがって」 ……前言撤回。 私はやっぱりこの人のことが、大っっっっっっっ嫌いである。
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