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だがしかし、夏になっても内定が出ない現状に、次第に私も同じことを考え始めてきた。
すなわち、『就活とは、おっぱいである』と。
面接を受けても受けても、もらえるのはお祈りメールばかり。顔も覚えていない人事担当者さんから送られてくる『就職活動のご成功をお祈りしています』のメールばかり。こんなに誰かに祈られたのは初めてだ。私に祈りはいらない、内定をください。
2、30社と立て続けに面接に落ちると、もはや自分のスキルや履歴書、受け答えに問題があるんじゃなくて、自分自身に欠陥があるのではないかと考えるようになった。
つまり、面接に落ちるのは、私のおっぱいが小さいからではないのかと。
今にして思えば、一種の就活ノイローゼの類だったと思う。だが、その時の私は真剣だった。当時話題になっていた、身に付けるだけで2カップ上がるという『魔法のブラ』を極秘裏に購入し、それを身につけて面接に臨んだ。実際、そんな魔法あるはずがなく、コルセットのようにぎゅうぎゅう締めつけてくる矯正ブラのワイヤーが容赦なく脇に食い込み、あまりの痛さで面接どころじゃなかった。トイレに籠もって、一人で泣いた。
そして私は方向転換し、『就活とおっぱい』の関係性を研究することにした。具体的に行ったのは、以下の通りである。
・集団面接やグループディスカッションで同席した女子達の胸を観察し、おおよその平均カップを割り出す。
・面談終わりにご飯に誘い、就活の進捗を聞き出す。(あわよくば実際のカップ数も)
・聞き出した情報を元に、おっぱいの大きさと内定の因果関係を統計で導き出す。
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