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真っ暗な部屋を手探りで進む。時刻は24時を回ろうとしている。明日は一限から授業があるって言ってたから、悠人はもう寝ているだろう。起こしてしまわないように慎重に部屋に入っていく。それにしても暗すぎる。ライト代わりにするため、私はバックに入れてあったスマホの電源を入れた。万が一、式中にスマホが鳴ってしまうのを防ぐため、仕事中は電源を切るようにしているのだ。
電源を入れると、スマホが振動した。メッセージを受信したことを知らせるバイブ機能だ。スマホを確認すると、メッセージが3件入っていた。
・17時25分 King Knight
『お〜い、生きてるか〜?勝手に電話切るのはマナー違反!仕事終わったら連絡すること!これ強制事項!』
・17時43分 Airi
『マナから聞いた。仕事辛いんなら辞めちゃいな。あたしも協力するからもっといい仕事さがすぞー』
・23時12分 高木 悠人
『果音、お疲れさま!ごめん、明日早いから先寝ちゃうけど、ご飯用意したからお腹空いてたら食べてね!気をつけて帰ってきてね』
スマホの画面で照らされたダイニングテーブルには、ラップに包まれたご飯が並べられていた。チーズたっぷりオムライスと、チキンラーメンのパリパリサラダ。砕かれたチキンラーメンが丁寧に別の小皿に盛られてラップに包まれている。悠人らしいな、と思ってついつい顔が綻んでしまう。
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