4 『誰』のため?

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「昨日は、無視してしまって申し訳ありませんでした」 そう言って、私は深々と頭を下げた。その様子を見て、西中さんがケラケラと笑い出した。 「なにそれ?根性ないね〜お前。まあでも、そこまで言うなら許してやっても…」 「そんなこと、どうでもいいんです」 「…は?」 「西中さんに許してもらわなくても結構です。そんなこと、どうでもいいんです。ただ、今日のお葬式を滞りなく閉式すること、そのために西中さんの力を貸して欲しいんです」 「な、なに言ってんだよお前!?頭おかしいんじゃ…」 「私は」 顔を上げて、西中さんの目をまっすぐに見る。私はこの人みたいに、故人様の前で絶対に声を荒げたりしない。静かな眠りにつく故人様を冒涜(ぼうとく)するようなことは絶対にしない。 私は、私が考えに考えたことを。 私は、私なりに出した答えを。 まっすぐ、この人にぶつけるだけだ。
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