10人が本棚に入れています
本棚に追加
「昨日は、無視してしまって申し訳ありませんでした」
そう言って、私は深々と頭を下げた。その様子を見て、西中さんがケラケラと笑い出した。
「なにそれ?根性ないね〜お前。まあでも、そこまで言うなら許してやっても…」
「そんなこと、どうでもいいんです」
「…は?」
「西中さんに許してもらわなくても結構です。そんなこと、どうでもいいんです。ただ、今日のお葬式を滞りなく閉式すること、そのために西中さんの力を貸して欲しいんです」
「な、なに言ってんだよお前!?頭おかしいんじゃ…」
「私は」
顔を上げて、西中さんの目をまっすぐに見る。私はこの人みたいに、故人様の前で絶対に声を荒げたりしない。静かな眠りにつく故人様を冒涜するようなことは絶対にしない。
私は、私が考えに考えたことを。
私は、私なりに出した答えを。
まっすぐ、この人にぶつけるだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!