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「私は、私自身と私を応援してくれる大切な人達のため、なにより、故人様のため、そしてご遺族と会葬者が心から故人様を偲ぶことができる場所を作るため、そのためにお葬式をするんです」
これが、私の答えだ。正解かどうかなんて分からない。答えにもなっていないかも知れない。だけど、私の頭と心で考えた、私にとっての唯一の答えだ。
「…ば、バッカじゃないの!?下らない!誰がお前の言うことなんて…」
「黙れクソレディー、故人の前でわめくな」
その声に、西中さんの顔色がどんどん青ざめていく。当真さんはいつもの大股早歩きで式場に入ってくると、私と西中さんの間に割って入り、西中さんを睨みつけた。当真さんの迫力に、私から見ても気の毒なくらい、西中さんは萎縮してしまっていた。
「いつも世話になってる木谷さんの会社の人間だから、昨日はあんたの会社には報告しないでやった。木谷さんの顔もあるからな。だが、今日の態度次第では即帰らせるつもりだった」
チラッと、当真さんが私を見た。
「…だが、ウチの種村が、あんたに力を貸して欲しいと言ってる。だから、告別式が終わるまではいさせてやる。式が終わったら覚悟しとけよ、クソレディー。さあ、とっとと遺族控え室の掃除してこい」
西中さんの100倍くらいドスと鉄砲が効いた声で、当真さんは西中さんに命令した。西中さんは顔面蒼白でフラフラと式場を出て行った。
…あれ?ちょっと待って。さっき当真さん、あり得ないこと言ってなかった?ウチの、なんとかって…
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