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そうして、不動産やさんの車に乗せてもらって、私たちはその物件へとやってきた。
これは…
想像以上に古い…。
全体的には、長細いマンションなんだけど…。
元々はクリーム色だったと思われる外壁は、主要道路に面しているせいか、排気ガスで黒ずんでいるし、各部屋のベランダの手すりは足元側が朽ちてボロボロだ。
しかも、カーテンもかかっていない、空き室と思われる部屋が遠目からも半分以上だ。
でも、五階部分のカーテンは全部閉まっている。
「これ、さすがにムリでしょ!」
ルリちゃんが少し声を荒げて言う理由もよくわかる。
それくらいボロボロだ。
ルリちゃんは、私の肩にポンと手を置いて、
「ここ、マジやばいよ。」
まぁ、たしかに古いし、かなり雰囲気がどんよりしている。
でも、こちとら切迫した問題だからね!
「こんなとこ、平気なの?」
そう言うルリちゃんに、ちょっと意地はって、
「うん?
なにが?」
そう言うと、
「あのさぁ!
足のない人とか?
不自然に浮いている人とかだよ!
そんなのいたらどうすんの?」
まぁ、そうなんだよね。
あり得る事なんだけどさ。
でももっと怖いものがあるよね。
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