01.お嬢様との出会い

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璃香子がしゃがみ込むから、慌てて覗き込めば真っ白な顔を見せて小さく「大丈夫」と言った。 「おいっ、顔色、全然大丈夫じゃねーだろ?病院行くか?」 「泰良くん大袈裟だよ、ちょっと…貧血気味なだけだから休めば平気だし」 「母ちゃん呼んでくるから、ホール接客代わって貰えって」 「うん、もう交代の時間だし」 「じゃぁ、早めに……」 「でも、このあと配達がね、あって」 「はぁぁぁあ?ケーキの配達ぅ?なんで今の時期にそんなのやってんだよ!お前はもっと、」 「大切なお客様なの。お願い、泰良くん。代わりに行ってくれない?」 璃香子が眉を下げて両手を合わせて頼んでくるから。もっと自分の体を大事にしろよ!という言葉は最後まで言える訳がなかった。 璃香子が悲しそうな顔を見ると、俺まで苦しくなってくるから。 「ちっ、しょうがねぇな。分かったよ!その代わり、アイツに連絡してちゃんと休めよ」 「ふふ、泰良くんは優しいなぁ。ありがとう!」 目を細めてはにかむ様に笑うから、この気持ちの罪悪感で思わず目を反らした。 璃香子の笑顔はマジでずるい──。
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