08.少年の日常

10/11
前へ
/174ページ
次へ
「……ふーん」 そらそーだわな。 華花に昔違う好きな奴がいても、当たり前だよな。俺だって、璃香子が好きだったわけだし。 「ふふ、華花ちゃんが好きなのかしら?」 「あぁ?」 「泰良!そこは、"はい、好きです!"でしょう?」 「バーカ、言うわけねーだろ?」 「人に馬鹿って言う方が馬鹿なのよ!もう、泰良の馬鹿っ!」 頬を膨らませながら、華花がケーキを口に入れる。「美味しいわね!」なんて、ばあさんに声かけて、あどけない笑顔を見せる。 「あー………はいはい、華花ちゃんが大好きですよー。あ、ここクリームついてんぞ」 「…………っ!?」 華花の口元についた生クリームを拭い取ると、コイツの熱がボッと上がるのが目に見えて分かった。 大きな瞳を見開いて、恥ずかしそうに俯く華花。 「ふはっ。お前、顔 赤すぎるって!」 「だ、だって泰良が……」 「お前が言えっつったんじゃん」 駄々漏れのコイツの気持ちに、応えてやるつもりなんてない。 俺はいつまでこの茶番につき合うつもりなのか、自分でも分かんねーけど。 きっと、華花もそのうち次に好きな奴ができて、俺から離れてくんだろうな。 「ふふ、(ハナ)。いい彼氏が出来て安心したわ」 「…………おばあさま?」
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加