17人が本棚に入れています
本棚に追加
09.お嬢様の選択
華花のばあさんが死んだ───。
連絡が来たのは華花と施設に行った2日後で、朝 母ちゃんから聞かされた。
「田渕さんちのおばあちゃん、亡くなったんですって」
「…………あ、そう」
「周さんから連絡があってね、もともと心臓があまりよくなかったみたいよー。寒いとこういう事、多いわよねぇ。うちのおばあちゃんの時もそうだったし。あ、施設に入ってたって、あんたも言ってくれればいーのに」
「…………」
「職員さんが朝 お部屋に行った時、すでに意識が無かったみたいなのよ。そこから救急車呼んだって。でも、随分と穏やかな顔してたって周さんが言ってたんだけどー」
「…………ふーん」
「明日、お通夜あるからあんた行ってきたら?璃香子ちゃんと。髪は黒くしてってね、おばあちゃんの時みたいに、シューって。私は告別式の方に出るから。場所は───、」
スマホの画面に視線を落とす。
華花からのメッセージは2日前で止まっていた。そうか。やけに静かなのは、それどころじゃないからか。
俺は2回しか会ってねーけど。ばあさんもあんな元気そうだったのに、本当に人の死ってのは急だし呆気ねーよな。
最初のコメントを投稿しよう!