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「送るよ、ちづるちゃん」
ポケットから車のキーを取り出す匠さん。
「大丈夫だよ、匠さん」
私は出口へと向かう。
「でも!」
心配そうに匠さんは声を荒げた。
「匠、ちづるはちづるなりに考えてるんだ」
匠さんの手を握り、大輔さんは制止する。
「お前!
心配じゃないのか!」
大輔さんの手を振り払い、匠さんはより一層大きな声を挙げた。
「……ガキじゃねぇし」
そっぽ向いて大輔さんは言う。
こんな時はガキンチョ扱いしないのね。
変な感じ。
「そうそう!
じゃあね!」
私は目一杯元気なフリをする。
そして、二人のやらりとりを尻目に私は施設を後にした。
これ以上……。
これ以上、二人に迷惑かけられないもの。
私が……。
私が、頑張らなきゃ!
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