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「……無理するなって匠に言われただろ?
何で学校とは反対にあるここに来た?」
心配そうにしている大輔さん。
これは……大輔さんの上着だ。
私に掛けてくれたのね。
何でここにいるの……?
「大輔さん!」
大輔さんが背中に私をのせる。
「おんぶ。
歩けないんだろ?」
私を乗せながら大輔さんは言う。
「やだ、重いよ~」
私は大輔さんの背中でジタバタする。
「んな事ねぇよ。
……恥ずかしいだろうが少し我慢しろ」
暴れる私が落ちないように大輔さんは必死に支えている。
「ありがとう、ありがとう……」
大輔さんの優しさと大きな背中の温もりに、寒かった私の身体は温まっていく。
そして、涙がポロポロと溢れ落ちた。
何やってるのよ、私……。
大好きな人に迷惑掛けて……。
私は疲れたのと、大輔さんの背中で安心したのとで次第に睡魔に襲われた。
……大輔さん、ごめんなさい。
少しだけ……少しだけこのままでいさせて下さい。
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