もう少しそのままで……。

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「あの時、10年前のあの日。 凍える女の子がいた。 雪の中、裸足でしかも薄着で……。 呆然と立ったまま、彼女は震えていた。 俺は咄嗟にここにつれてきてしまった。 ここならこの子を救えるって思ったんだ。 本気で誰かを助けたいって思った。 今もその気持ちは変わらない」 大輔さんはポツリポツリと話し始めた。 いつもは無口の大輔さんが……。 「10年前のあの日……って。 まさか、助けてくれたの大輔さんだったの?」 あの寒い寒い雪の日の公園で手を差し伸べてくれたのは……。 貴方だったのね……大輔さん……。 「あの日、いきなり大輔がちづるちゃん連れて来たのはびびったけどな」 ポリポリと頬をかく匠さん。 この大輔さんがそんな大胆なことを……。 そりゃ、匠さんじゃなくてもびっくりするわよね。
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