過去。

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寒い、寒い冬のある日。 私は「あの人」に出逢った。 目が覚めると雪が降り積もっていた。 いつの間にか私は外で横たわっていた。 薄着で裸足のまま、私はぼんやりと立っていた。 ……そっか。 私は……私は……。 捨てられたんだ。 私は両親に愛されてなかった。 寝ている間に知らない土地に捨てられたんだ。 幼かった私はそう感じていた。 行く宛もなく寒さに震えていた。 少しでも寒さを凌ごうと私は公園のベンチに座り背中を丸めていた。 足が冷たいよ。 意識がぼんやりする。 フワッと私の首もとが温かくなった。 誰かが私にマフラーを掛けてくれた。
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