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「施設長に渡すように頼まれたんだよ」
大輔さんは頭をポリポリとかいた。
「大輔から渡した方が都合い……もがもが……」
「どうしたのかな~、匠くん?」
匠さんの話を割いて、大輔さんは匠さんの口を押さえた。
そして、不自然で不気味な笑みを浮かべている。
匠さんは苦しそうに手をバタバタしている。
どうしてこうなった?
「それより、二人とも大学は?」
匠さんが窒息しそうだったので、助け船を出してみた。
「ぷはっ、今日は休講」
大輔さんの手から解放され、匠さんは大きく息を吸いながら答えてくれた。
匠さん復活!
良かった、良かった。
「俺は午後から研究室に行く」
何事もなかったかのように、大輔さんも答えた。
「卒論か?」
匠さんは大きく伸びをしながら尋ねる。
「ああ」
面倒臭そうに大輔さんは返事をした。
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