初めての龍

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 龍が天に昇った後も、人々の必死の祈祷は朝まで続いた。  皆、心を一つにして、疫病退散を唱え、祈り歌い踊り狂った。  それから。  皆が心一つにして、病気の根絶に取り組んだ結果、その後、数年で病気にかかる者は、ほぼいなくなった。  プーチロンは、ザクースカの代わりにロウソクやマッチを売り始めたけれど、ライナ族はもう、警戒して飛びつくことはなかった。  ロウソクの火で、『一度』闇を失ったら、また何か大変な病気に(かか)るかもしれないと思ったからだ。  了 追記  『一度』失ってしまったら、取り返しがつかないこと。  すでに闇を失って、病気に罹りかけている現代人の僕らではあるが・・・  みんなで一心に祈ることだけは、失ってはならない。  地球最後の日が、目前に迫ってからでは遅すぎる。  自分だけでも最後の最後まで、必死に祈る気概を持とう!  戦争反対!  疫病退散!  緑を守ろう!  ああ、祈ることが多過ぎる。  これじゃ、龍は拝めないな・・・        
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