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一年の半分は雪に閉ざされている北方の小さな島に、文字を持たない民族が住んでいた。
彼らは魚や海藻など海の幸だけを食べて生活していた。
彼らは自分たちをライナと呼んでいた。
ライナは生物としてのヒトという意味だった。
ライナ族は、自分たち以外の人間を見たことがなかった。
世界に、自分たち以外の人間がいることさえ知らなかった。
彼らの平均寿命は200年。
島には彼らに危害を加える生物はなく、気候風土も安定していた。
食糧は豊富にあり、彼らは何一つ不自由なく平和な生活を送っていた。
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