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だけど思いもよらぬ所で落とし穴がある。
あれは一人暮らしをしている彼の家で小学校の卒業アルバムを見ていた時だ。
私は修学旅行の箇所を眺めていた時、一人の女の子を発見した。
私が陥れた女、梓沙だ。
以前に彼女の子供の頃の写真を見た事があるから間違いなかった。
確かに彼と梓沙は同い年だ。
しかし同じ学校にいたとは驚いた。
でも卒業名簿には梓沙の名前はどこにも記載されていない。
私はそれとなく彼女の事を尋ねた。
知り合いの子に似てる気がすると嘘をついた。
彼は疑うこと無く答えてくれた。
「彼女とは同じクラスだった時もあったが挨拶程度だったかな。修学旅行が終わった後に転校したけどね」
彼の説明に嘘はなかった。
しかしここに小さな疑念が生まれた。
もし、彼が梓沙と通じていたら……
これまでの付き合いも私を陥れる為の作戦だとしたら………
だけど、そういった疑念はすぐに拭い去った。
計画は完璧だし、証拠も捨てた。
そもそもアイツが知るわけがない。
事件の事について聞こうともしなかったし、そういった素振りも見せなかった。
そんな彼を疑う理由がどこにある。
私はそう自分に言い聞かせた。
しかしほんの小さな疑念は大きく膨れ上がり、疑心暗鬼へと変貌していった。
そしてある結論へと私を誘った。
ほんの些細な疑惑はやがて破滅へと導く。
別れ話に持ち込む事はできない。
どんなに上手い口実を作っても、彼への疑いが芽生えてしまうからだ。
だから、そうなる前に………
「殺してしまおう」
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