《 知らない土地 》

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《 知らない土地 》

 川沿いを走るかと思いきや、天の声が、内側目指して道を進めよと、促されるまま車を走らせる。  しばらく進むと、やや開けた感じの幹線道路が見えてきた。 「よし、あの道だ」  と、緩やかなカーブを経て本線合流を目指した。  車通りも少なく、本線を走る車も少ない。  逆Y時路の見通し良すぎる側道から、私は安全確認後、無事に本線合流を果たした。  助手席にいる彼(当時)に私は、 「これで江戸川渡しまで連れていってくれるはずだよ。大きい道だもん」  嬉々として話す私に、彼が満面の笑みで答えてくれた。  良かった。  長かった。  まさかの展開だった。  川は橋がないと渡れないんだ。  まだ不確実な幹線道路に安堵を示し、ハンドルを進行路に合わせた。  すると、聞き覚えのある鋭い笛の音が突如として鳴り響いた。 「え? なになに?」  笛の音と共に視界に飛び込んできたのは、赤い棒。  そしてそれを振る、国家の安全を託された警察官。 「え? なになに?」  優しく柔らかな笑みで私の車を誘導する、若い警察官。  何が起きているのかさっぱり分からず、促されるまま、少し離れたところへと車を停めた。  若い警察官は窓を開けて下さいのジェスチャー。  窓を開けて構える私。  すると、かがみこむような姿勢で若い警察官が、 「分かりますか~?」  と声をかけてきた。  何言ってんだ、分かるはずもなし。
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