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物語1 解決 トリック
「探偵さん。言われた皆さんを集めました。」
小春は家の前に兄の大貴、牛乳配達員の的場、電気屋の町下の三人が。
「では…まず最初に。この事故は…意図的に起こされた…殺人です。」
「!?」
皆が驚く。探偵は人差し指を立てて話しを続ける。
「まずはそのトリックから。
その鍵はタンスの様子とお兄さんの見つけたリモコンです。実はリモコンは付属品でなくても動かすことが出来ます。つまりは外からエアコンは動かすこと出来ます。
そしてタンス。タンスの一つ取手に糸が巻かれていました。この糸が恐らくエアコンの外の室外機巻きつけられています。タンスはわざわざ着物が一部出され、着物を仕舞うには似つかわしくない軍手とともに倒れていました。
恐らく軍手をタンスの下に挟み込み、タンスの下の方の中身を抜く。こうすることで弱い力でも倒れやすく細工をする。
後はエアコンを外から動かすと室外機が回り、タンスの糸を引きつられてタンスが倒れるんです。」
「で、でもそれは母がタンスの前でじっとしていないと。」
「もちろんです。それで聞いたら小春さんの話は出てきませんでしたが、皆さんご存知のように良子さんは先端恐怖症。傘の先で立てなくなるほどのね。玄関にも傘は無くてレインコートでした。これは長い事、その症状があるとみて間違いないかと。
ガラスの向こうで傘や尖ったものを見せつければ良子さんの動きは止まる。倒れたのはガラスの対極。ガラスから先端を見せつければまずおおよそ正面に来る。
先端恐怖症の事を知っている人物じゃないとできない。だからこの三人を呼んだんですよ。」
「じゃあ…誰が。」
「一つ…このトリックでは部屋の中で仕込みをする必要がある。そういうことから推理して…犯人は…あなたですね?
大貴さん!」
みんなの視線は大貴に。
「おいおい、なんで俺なんだよ?俺の母さんだぞ?それにあんたが言ってた!先端恐怖症を知ってたら出来るって!母さんは他の人も家に上げている!不可能じゃない!」
探偵は頷いた。
「それこそ、この事件の最大の鍵。
最大の物語です。」
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