1

2/4
前へ
/22ページ
次へ
「…はぁ…。」 静かな街並み。周りは森で人が寄り付くような所ではない。そこで肩を落として歩く女性の姿。その手には「催促状」と書かれた紙が。 「…これから…今度はお葬式も…。」  女性の森を抜けても顔が上がらない。 そんなとき淡い黄色い光が彼女を誘う。 「…こんな時間に?…何かしら?」 見慣れない光に誘われる。白い真四角な建物に正面はガラス張りの建物が。 「…図書館?」  建物から見えるのは壁一面の本だ。 入り口には看板に目をやると、 『コンシーダー探偵事務所 なんでもご相談して下さい。 相談料は「依頼の物語」によります』 女性の顔は不信感でいっぱいだ。しかし視線を手元の催促状へ。 少しばかりの希望を胸に中に誘われる様に入る。 扉を開けると、カランコロンと高い鐘の音が建物に響き渡る。 中はガラス張りの一面以外の三面がビッシリ本が並んでいる。床にも平積みした本がたくさんだ。 「ごめんくださーい。」 女性の声だけが響く。 「はい。いらっしゃさいませ!」  「!?」 声は上の方からする。大量の本が並ぶ本棚の中に、本に座る笑顔の男性が。 青いスーツを身にまとい、金の髪と笑顔が実に印象的だ。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加