物語1 現場確認。

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物語1 現場確認。

「これがお家ですか。」 探偵は小春に案内されて事故のあった家に来ていた。そして小春は家の扉を触れる。シャーッと機械音がして扉が開く。 「噂の電子キー。ハイテクですね。」 「これで開閉の時間が分かるんで、何かあればと思ったんですが、一歩私は遅かったです。確認できず。」  「因みにどうやって事故は発見されたんですか?」 「実は…ここに来ている牛乳配達の人から。」  「へぇ。」  「母はいつも配達員に手渡しで飲み終えた牛乳を渡していました。普通は玄関先に出すだけなんですが。それで二日連続でそれがなかったから、私と兄に連絡が。」  「気の利く配達員ですね。」 「ええ。わたしたちからお願いしてるんです。他にも電気屋さんや森の下の近隣の人に。」 「何故?」 「母はアルツハイマーですし、毎日散歩するのが日課だったんです。もしそこで事故にあっても気付けるようにです。森で倒れたら誰も気づかないでしょうし。」 「確かに。」 そういいながら小春は探偵を部屋の中に。   広い玄関には二人の靴を並べてもまだまだ広い。大きな壺が置かれてその横には大量のレインコートがかけられている。長靴やおしゃれ靴も並んでいるがどれもていれが行き届いている。 「…。」 探偵は少し玄関を気にしながらそのまま小春についていく。 「ここが事故現場です。」 「わぁ、広い。」 畳の部屋は20畳近い。そして一つの壁面にエアコン。そこからタンスもいくつも並んでいる。反対の面には着物や帯が裸で積まれている。タンスの上まで荷物やダンボールがある。壁沿いに並んだタンスは壁に空きたらず、窓の対面のところにも。そのタンスの一つが倒れている。 「なるほど。これに…。」 探偵はうなずいていた。タンスの正面は窓。そして倒れたダンスの近くには着物や軍手が転がっている。 「…。」  探偵は膝を曲げてタンスに近づく。一つの引き出しの金具に透明な糸が飛び出している。先端は伸びて解れている。 「…もう本当にこんな形なので…。最後に私がいつもどおり面倒を見て帰ってしまって…。翌日の朝から配達員からしてその間には下敷きになっていたんでしょうね。」 「…因みに次は誰が?面倒を?」 「…金曜日に私が。そして日曜日に兄でした。」 「なるほど…。日程はだいだいきまってるですか?」 「はい。私が今は平日3日、兄が日曜日です。」 「それは…お仕事始まったら大変ですね。」 「いいえ…母のためなら。大丈夫です。」 「なるほど…少し他の人にも話を聞きますね。」
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