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物語1 兄、大貴。
「お兄さんすみません。お話伺いますね。」
「あぁ。小春が依頼した探偵さんだな。しかし…そんな何かあるかな?お金もかかるだろうし。」
「…まあ、その辺りはちゃんと相談してありますので。」
「母さんがアルツハイマーってなってから小春は必死で。話したり会うのが予防になるって…仕事も辞めて…。全く…せっかく大企業の管理職候補だったのに。」
「それは…一つの謎が解けました。私のところへ来たときに催促状を手にしてましたから。」
兄はため息を溢して肩を落とす。
「因みにお兄さん。事故当日に向かう予定でしたよね?」
「あぁ。いつもどおりに10時頃に。」
「牛乳配達員から連絡は?」
「あったよ。朝の6時頃にね。」
「少し時間が空いているように。」
「近いからってすぐには行けないよ。それは小春も同じだろう?それに向かうから良いかと思ったんだよ。俺にも家庭があるんだから。10時頃についたら中で母さんがタンスの下敷きになってて、タンスを押し退け救急車を呼んでいたら小春が来たよ。」
「…倒れていたタンスには何が入ってました?」
「母さんは着物が好きでタンスに全部しまっていたよ。」
「…なるほど。」
「母さんはしっかりしていたから大丈夫とたかをくくっていたよ。元気だったし。何年も続くと。けど年齢の事をもっと考えてあげれば。
悔やんでも仕方ないだけも、悔やみきれない。」
「…因みに何か変わったことや気になることはありましたか?」
「…気になることは……まあ、外にリモコンがあったよ。エアコンの。」
「エアコンの?」
「あぁ。家の中で使ってるのじゃないし、土曜日に母さんがエアコンの調子が悪いって言ってたから電気屋を呼んだし、その時にと思ってたけど。それくらいかな?」
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