4人が本棚に入れています
本棚に追加
物語1 電気屋
「すみません、こんなお話を聞いて。」
「いいよ、町下です。町下電気の。」
「土曜日に良子さんを訪ねに?」
「ええ、エアコンの調子が悪いと聞いてました。しかしインターホンでも出なくて。そのまま帰りました。」
「そのまま?」
「はい。」
「因みにですが、良子さんのお家に上がったことは?」
「ありますよ。連絡を受けたエアコンは私がつい先月取り付けたものです。だから不具合も気になって。」
「不具合の内容は確認しました?」
「いや、してないよ。というか、あの部屋にエアコンがほしいというのもあまり聞いていなくて。良子さんも家族もあんまり使わないとか。」
「へぇ。」
「ついでに入り口の扉は?」
「それも私がやりましたね。」
「開閉のデータは確認とか編集できるですか?」
「それはメーカーに問い合わせないと。」
「なるほど…。ではそこは簡単にいじれませんね。」
「そうですね。私はあくまでも工事屋なので。」
「因みに良子さんは病気を持っているですがご存知ですか?」
「ええ、先端恐怖症と。なので工具を使うときには部屋を離れてもらいました。」
「エアコンの時も?」
「はい。お部屋は綺麗で、エアコンの取り付ける面とは逆、タンスも何もない壁面に荷物を広げました。お部屋は綺麗で広々と作業出来ました。」
「そうですよね。」
最初のコメントを投稿しよう!