解散

1/18
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ

解散

 神人のことは友達だって思ってたから楽しくできたのに。  俺はあいつが好きだった。あいつもあの日までは俺を友達として好きだった。  お前が俺に恋愛感情抱いちゃ、おしまいじゃん。  だけど俺があいつに好きだと言ったから、あいつが嫌がることをしてしまったから、俺はあいつに嫌われた。  お前、変だもん。  だから海と俺も、もうすぐ終わるのだろう。何故なら俺が普通だと思うことを、彼は変だと思っている。  男が男を愛すること、同性同士で腕を組み街中(まちなか)を歩くこと、男同士が公の場でキスをすること。  俺にとっての『普通』は彼にとっての『あり得ない』で、俺にとっての『正常』は『異常』、『当然』は『特殊』だ。  俺が海の大好物を本能的に毛嫌いしてしまうのと一緒で、この部分は決して交わることはない。歩み寄るとか譲り合うとか、そういった枠から何歩もはみ出た話。  もう一生、折り合いのつかない話なんだ。
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!