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ぴかぴか光る男の頭。腕時計より金歯より、夜空に浮かぶカシオペヤ座よりも眩かった。
「で、電球頭だとお〜……?」
わりと理に適った命名をしてあげたのにもかかわらず、男の頭頂部からは湯気が出ていた。
海が俺をぎろりと睨む。
「おい怒らせんなよ……」
「大丈夫だ。俺等にはあやとりがある」
「あやとりでどうやって勝つんだよ」
「けっこう長めで丈夫な紐なんだ。それでさくっと合体しちゃお」
「はあ?」
「海は電球頭から逃げまくるだけでいい。その間に俺がやる」
そう言って、パンツポケットから取り出した黄色い紐。海の頭から順にその輪へ通し、腹部で止める。
「なに、これ」
「いいからほれ、後ろ向けっ」
解せぬ顔した海への詳しい説明は後回し。百聞は一見に如かずだ。
海が反転すれば、そこには大きなブレザーが広がった。海は広いな大きいなを鼻で奏でながら、俺の身も背中合わせで輪の中へ。フックのように曲げた両足を片方ずつ彼の足へと絡ませれば、俺は宙に浮いた。
「お。安定〜」
これで合体は完了だ。俺の胸部と海の腹部がしっかりと紐で繋がっているから、俺は逃げる体力を消耗することなく、攻撃だけに専念できる。
プスプスと、電球から蒸気が出続けていたことに気が付いたのは、それからすぐのこと。
「お前達、おちょくってんのか……?なんだその気色わりいおんぶは……」
プス、プス。プスプスプス。
大噴火する前には始めておこう。
「ごめんおっちゃん待たせた。さ、やろやろ」
「んあ〜?てめえ、まじでその格好でいいんだな?」
「うん。むしろこれが最終形態。一番強えやつ」
「後悔させてやるわああぁあ!!」
ドッカンと爆発した男は、弓矢の如く引いた拳を俺等に向けてきた。
「海!走れ!」
俺の合図で、海は風を切る。
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