49人が本棚に入れています
本棚に追加
ふたり揃って遅刻をすれば、お節介焼きなクラスメイト北条美咲に叱られた。
「こら海神コンビ!また朝から喧嘩でもしてきたんでしょ!」
小さく「だっる」と言った海は、美咲を空気と同化させ、スタスタ自身の席へと進んで行った。よって、彼女の怒りの矛先は俺だけに。
「ご、ごめんなしゃい美咲しゃん……」
「ごめんじゃなくってこっちは聞いてんのよ!喧嘩したの!?」
「い、いえっ。諭しただけですっ」
「はあ?諭すう?」
「ここからお逃げなさいと、追われ者に告げただけですっ」
「はー?」
コトンと今にも頭が落ちてしまいそうなほどに首を曲げた美咲は、それをゆっくり元へ戻す。
「神人は敵が多いんだから、あんまり海くんを巻き込まないでよねっ」
「へ?」
「喧嘩すんのは勝手だけど、海くんを誘うなっつってんの!」
「はひっ」
しゅんと俺が萎縮したところで二限目のベルが鳴り、美咲は席へと戻っていく。
彼女の言葉の裏に隠された真意を予想してしまえば、その日一日中項垂れた。
最初のコメントを投稿しよう!