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店を出る頃、空は茜色。美咲が言う。
「中途半端な時間に予約しちゃったからもう夕方だねー。最近どんどん夜が早まってくー」
そこでこそっと、俺へウインクを投げてきた。
「神人は今日この後、用事があるって言ってたよね。アイラんちすぐこの近所だから、ついでに送ってあげてくれない?」
「は?美咲たちは……?」
「私はもう一軒だけ海くんに紹介したいカフェがあるの。色々なハーブを取り扱っている、お茶が美味しいお店」
「え……」
お前行くの?の目線で海を見上げるが、星屑のように煌めいた双眸に「行きたい」と言われ、目を瞑る。
「わ、わかった。じゃあ、ここで……」
夕焼けの中並び歩くふたりの背中は、アイラと別れたその後も、瞼の裏で居座り続けた。
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