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学校へ着くと、美咲が一目散に俺の元へとやって来た。
「うっわ!血ぃ付いてんじゃんっ!また喧嘩ぁ!?」
風紀委員のように俺の制服をチェックして、付着した血飛沫の数をカウントする。
「二十八個っ。一体どれだけ、こてんこてんにしたのよ……」
「す、すみましぇん……」
暴力反対の美咲は怪訝な顔を作る。彼女の恋人を装うのであれば、海は喧嘩などできない。
ググッと握られる、腿横の拳。
「そういえばね、神人。吉報があるの」
顰め面から一転、満面の笑みを作った美咲は、その名の通り美しい花でも咲いたように見えた。
「な、なに」
「えへへ、知りたい?」
「うん知りたい。教えてくれなきゃこの血だらけのシャツで抱きついちゃう」
「やめてうっざ、まじ嫌い」
「で、なに」
間を空けて、頬を赤らめて。そして彼女はこう言った。
「今朝海くんに告白して、オッケーもらえたのっ。クリスマスも一緒に過ごしてくれるって言ってくれた。やったあっ」
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