コンビ結成

3/16
48人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
 つけ麺屋を後にした俺等は、『この後どうする会議』をする為に、コンビニへと立ち寄った。  各々雑誌を暫し読み、各々選んだドリンクを購入し、イートインに腰を下ろす。 「うげ。なんだよ海の飲み物」  得体の知れぬ真白なドリンクを、ぐびぐびと喉へ通す海。 「これ?杏仁豆腐ジュース。新発売だったから買ってみた」 「気持ちわっる……」 「神もひとくちいるか?」 「一生いらねえ」  見た目も中身も、海という人間ほとんどを愛してやまない俺だが、食の好みだけは好きになれぬ。むしろ、変えて欲しいと願っている。  俺が嫌なそれを、次から次へと体内へ注入していく海を呆然と眺めていると、背後からこんな声がした。 「うわやべえ、海神(かいじん)コンビじゃんっ。店変えようぜっ」  振り向くと、そこには顔も名も知らぬ男子学生がふたりいた。俺と目がかち合えば、彼等が(おのの)いていくさまがわかった。 「あ?なにお前等。誰」  そう聞けば、ピシッと姿勢を正されて「失礼しました!」と頭を下げられる。不可解な彼等の行動に小首を傾げていると、脱兎(だっと)の如く逃げ去られる。  傾けた首のまま、海に聞く。 「あれ、東校の制服じゃんね。なんで俺等のこと知ってんだろ」  俺が後ろを向いているその(あいだ)に、海のドリンクは(から)になっていた。 「西校でのあの一件が、噂になってんだろ」 「あんなんでえ?」 「そ。あんなんで」  ふぅんと俺は、ブラックコーヒーへ口をつける。早々に手持ち無沙汰となってしまった海は、この場を出たがった。 「俺んち行くか」
/76ページ

最初のコメントを投稿しよう!