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名村海。俺と同じく高校二年生。通う学校も同じならば、クラスだって一緒。
一年生の頃から親しくはしていたが、その時は友情を育むだけで、互いに恋愛感情は抱いていなかった。友達の仲の良い友達だから自然と友達になったって、まあそんなとこ。
そんな彼と恋仲になったのは、二年生でクラスメイトになってから。
✴︎
「やっば。お前また背ぇ伸びた?」
体育の授業中、ネットの向こうへ綺麗なアタックを放った海に、俺は言った。
「まじもんのバレーボール選手じゃん」
うへーと見上げる俺に、ふふんと見下ろす海。
「おう。四月の身体測定、187センチだった」
「きょえー」
「神は相変わらずの140センチ台?」
「う、うっせえなっ。ギリ150いってるって言ってんだろっ」
「どうだか」
ぽんぽんっと頭を撫でられて、ムキになる。
「可愛がるなし!」
「可愛がってねえよ、馬鹿にしてんの」
「うわ、うっぜえ!」
ジタバタとその場で足掻く俺を一頻り笑った後、海は手を離してこう言った。
「そんなちっせえ身体なのに、この前他校の奴等打ち負かしたって聞いたぜ?すげえじゃん」
その瞬間、俺は恋に落ちた。
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