コンビ結成

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 海へ抱く己の気持ちを知ったところで、俺は何を行動するでもなかった。今まで通り友達として接し、これまで通りの距離を保つ。  告白なんて、愛しているだなんて、男の俺が少しでも口にすれば、きっと海は遠ざかってしまうと思っていたから。  けれど。 「おい神。それ誰にやられた」  ゴールデンウィーク明け。半壊した顔面と共に登校した俺を見るやいなや、海は怒りを露わにした。 「なんだよその酷え傷。どこのどいつが神を殴った」  何故か、俺の胸ぐらを鷲掴んで。 「西校の濱口(はまぐち)〜」 「んあ?濱口?なんでまたそんな巨体と。勝ち目ねえじゃん」 「だろー?だから、これよ」  ズタボロな顔を指さした俺を見て、海は少し笑っていた。 「んじゃ、俺を武器に使え」 「は?武器ぃ?」 「神のちっせえ身長は、187センチの海くんがフォローしてあげよう」  そう言ったその足で、ふたり西校に乗りこんだ。
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