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項垂れて、言葉にならぬ言葉を呟いて、涙を拭ってまた項垂れて、の繰り返し作業は、突如現れた他者により強制終了。
「青井神人くん、みーっけっ」
名を呼ばれると共に抱えられた両脇から順に浮く身体。驚きのあまり、涙はピタリと止まる。首を左右に動かし両サイドの人物を確認するが、どちらも面識のない男だった。
「うっわ。神人くん泣いちゃってたのお?もしかして、彼女にフラれちゃったあ?」
唯一見覚えがあるものは、彼等が身に纏う制服だけ。
「なにお前等。西校の誰」
「名乗るほどの者じゃごっざいませーんっ」
「俺もそう思う」
「じゃあ聞くなよタコがっ」
「いいから離せよ、なんだよ急に」
「向こう着いたら離してあげまーすっ」
「向こうってどこ」
少しの間を空けて、男のひとりはほくそ笑む。
「濱口さんのとこっ」
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