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スウェットの上にスカジャンを羽織った濱口に聞く。
「お前今日学校は?」
「行ってねえ」
「お前の手下は制服着てんのに?」
「こいつ等には準備が整い次第お前を連れて来いと、俺が呼び出した」
「準備ぃ?」
「おう、準備」
そう言って彼が取り出したもの。それは金属バットと刃物一丁。
俺は声を失った。
刃物を静かに地へ置いて、パンパンとバットのヘッドを手の平で遊ばせながら、ゆっくり俺へと近付く濱口。斜めに上がった口角は、気味の悪い道化師そのもの。
唾を飲む。震えた歯の隙間から問いかける。
「な、なにすんのハマちゃん……」
けれど濱口は、その質問には答えずに、俺を移送してきた男ふたりへ視線を向けた。
「ケンジ、ヨウタ。お前等のバットも用意したからそこにあんの使え」
「え!俺等も参戦していいんすか!?」
「ったりめえだろ。以前このカスはふたり掛かりで俺をボコッたんだ。仕返し仕返しっ」
「よっしゃあ!」
地で寝そべっていたバット二本が彼等によって立ち上がれば、パンパンパンパンと、三方向からそんな音。
「いやいやいや……ちょ、ちょい待てや……」
身を捩ってロープを緩ませようと試行するが、相当きつく結ばれているのか頑丈だ。
「ケンジからいくか?」
「いいんすか!?」
「おう。だけどあんま思いっきりやるなよ?一発ケーオーとかつまんねえじゃん。いびり倒してから殺してえし」
「了解す!」
笑顔でそんな会話をしながら、三つの影が俺の元へと集まった。
「じゃあ、いっきまーすっ」
ガンッ!
耳を劈く音と共に、脳天が揺り動く。
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