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「おい、なに睨んでんだよカス。殺すぞ」
歯を食い縛り濱口を見上げると、彼は再び腰を落とす。俺の前髪をがっしり掴み、面と面を近寄せる。
視界いっぱいに広がる胸糞悪い彼の顔。恐怖を超えて、不愉快だった。
「どうせ殺すんだろ……?なに脅し文句に使っちゃってんだよ……なんの圧も感じねえよ……」
「ははっ。声も身体もぶるぶるなのに?怖いくせに?」
「アホかっ。もう年末だぞ、さみいから震えてんだよ……」
「わかったわかった、もう強がりはいいからカスは黙れ。しょんべんなら今のうちに漏らしておけよー。見ててやるから」
そう言って、俺の前髪を突っぱねた濱口は「ほらっ」と俺の股間を鷲掴む。その瞬間、耐え難い痛みがマッハのスピードで全身を貫いた。
「っ!!」
「遠慮なく出せよ。出ないならもっと握るのみだぜ」
とても強い力を込められて、額に汗が滲んでいく。周りの輩は笑っていた。
嗚咽にも近い状態でもがき苦しむだけの俺を、一頻り楽しんだ濱口は、最後にギュッと乳でも搾るかのように一度潰すと、その手をようやく離して言った。
「つっまんねーのっ。やっぱ殴ってた方が楽しっか」
未だ激痛の地獄から抜け出せぬ俺は、頭がことんと地に落ちた。
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