48人が本棚に入れています
本棚に追加
/76ページ
「また来たのかよ、カス」
広々とした校庭にででんっと登場した濱口は、首をコキッと一回鳴らす。
「しかもなんだ。肩車なんかしてもらっちゃって、お前はガキか」
海の肩に腰を据えた俺は、濱口よりも高い位置から彼を睨みつけた。
「よく聞け、ハマー」
「変なあだ名つけんなコラ」
「じゃあハマグリ」
「殺すぞ」
「この前俺がてめえに負けたのは、タッパのせいだ。断じて実力のせいではない」
「ああ?」
「だから今日は、てめえをこの目線からぶっ潰す」
ボキボキと指を鳴らし、肩も回せば準備は万端。騎馬戦の騎手のように構えた俺を見て、濱口は呆れ笑った。
「んな不安定なとこから?この俺を?アホじゃねえの?」
「不安定じゃねえよ。俺の足になるのは名村海だ」
「知らねえー」
「じゃあ今日覚えて帰れ」
俺から海へと視線を移した濱口は、けっと嘲笑ってから視線を戻す。海は斜めに唾を吐いていた。
「じゃあ、ふたりまとめてボッコボコにしてやるよ」
濱口の闘志にも火が灯ったところで、試合は始まった。
最初のコメントを投稿しよう!