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「でもさ、なんで俺等って海神コンビなの?俺がポセイドン叫んだから?」
まだ半分以上は残っているブラックコーヒーのボトルを手に、お邪魔した海の部屋。彼のベッドでまったり過ごす。
「俺と神の名前を組み合わせてんじゃん?『海』と『神』。だから海神」
「ほえ、なるほど。みんなちゃんと、テストの予習できてんじゃん」
「お前もそれ狙って、ポセイドン言ったんじゃねえの?」
「いや、全く考えてなかった。咄嗟に思いついたハリケーンロイヤルガチスペシャルイエイイエイキックを言うのが面倒かったから、ポセイドンにしただけ」
「なんじゃそりゃ」
ピコンとデコピンを放たれて、嬉しくなって。制服のシャツから覗く海の胸板に、鼓動が速まる。
「か、海っ。俺──」
海の全部が見たいと思ってしまえば、自ずと伸びた俺の腕。
「やめろっつの」
それはパシンと軽く払われ行き場を失くす。
「なんでえっ」
「すぐ下の居間に母親いるっつの」
「いーじゃんいーじゃんっ」
「アホかっ。神のことはただの男友達で通してんの知ってるだろ?それなのに二階からギシギシミシミシ聞こえたらおかしいじゃんっ」
「じゃあ今から俺、実は恋人でーすって言ってこようか?」
「絶対やめろ、殺す」
ぶうっと膨れても、海の決意は揺らがない。
彼の大部分を愛している俺だが、食の好みに加えてもう一個だけ好きになれない箇所がある。
「じゃあせめて、友達には言おうよ」
「言わね」
「じゃ、校長」
「もっとハードル高えわ」
それは、俺との関係をひた隠しにすることだ。
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