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「お断りします。一人が寂しいなら誰か他の人を誘ってください。あなたなら幾らでもいるんじゃないんですか?一夜を共にしてくれる相手ぐらい」
皮肉を込めていったのに通用しない。やっぱり悠里さんは色気たっぷりに笑うだけ。
「いるわよ」
はっきり言えるところがすごいよな。この人の人格が透けて見える。
こうも自信満々にいわれると、もはや怒る気も失せてくる。
「でも私はあなたがいいの、優斗」
「いつもこんなことしてるんですか?本当にいつか訴えられますよ?例えば今まで辞めさせた人達とか」
「いーえ、大抵いつもは向こうから誘ってくるのがほとんどだもの。私はそれをイエスかノーと答えるだけ。私から本気で誘ってるのは優斗あなたが初めてよ」
どこまでが本気で嘘なのか全く読めない。頭痛の度合いが酷くなり、黙り込む俺に暫くして悠里さんの顔色が変化する。
「分かってないのはあなたの方よ。あの新人アイドルに色目を使われてたのにも気付かないお人好しな優斗くん」
急に真面目な顔して何を言うかと思えば、意味深なダメ出しかよ。
「人の本心なんて見た目には分からないものよ。あなたはあの天真爛漫に騙されてたみたいだけどね。私を軽蔑してるんでしょ?けど私はあの子が周りに害になると判断して排除したの。
単純に気に入らないからきつく当たってた訳じゃないわ。私なりに作品を守りたかったから」
「…え?」
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