三人目のお父さん

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その日から優斗との生活は始まったけど、実に奇妙なものだった。 母は仕事柄生活が不規則だ。 ドラマの撮影が入ればまるっと3ヶ月から半年、下手したらそれ以上はロケ先のホテルに泊まり込み帰ってこない。 仕事がオフの時も自由奔放に旅行に出かけ、あまり家には居なかった。 子供の頃は私もよく一緒に色んなとこに連れ回されたものだが、今となってはそれもない。 そしてそれは新しい父ができたとしても変わることはなく。 優斗がこのうちに来て一ヶ月もしないうちに母はまた家に帰って来なくなった。 優斗との甘い生活も最初だけ。 自由奔放な母はいつも恋愛に対してどこかドライなとこがある。熱をあげるのは決まって初めだけだと黙認してる。 「母のこと、寂しくないんですか?」 やはり今回も同じだった。 と思いながらも必然的に優斗との時間は増えていく訳で。居心地の悪さはたまったもんじゃない。 視界に入るたび、変に意識してしまう自分にも嫌気がさす。 けど彼はマイペース。 そして見るからに違った。 今までの男性とはどこか違う。 ビックリするぐらい母に忠実で、家のことをきっちりとこなす。 「そうだね。それでも悠里(ゆうり)さんの邪魔はしたくないから」 (何ていうか健気だな…) そして非常識。 仮にも私は年頃だ。そして優斗も20代後半ぐらいだろう。と思われる男女を二人にして罪悪感というものはないのだろうか? いや、ないからあの人はあの人なのだ。 平気で色恋沙汰を繰り返す。
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