三人目のお父さん

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「ほぅ、こりゃべっぴんさんじゃのう」 「…あら、ありがとうございます」 そこへ通りすがったおじいちゃんが登場。 杖を付き興味深くうーちゃんを見つめると、とても見惚れたように足を止めた。 「女優さんか何かかね?」 「いえ、違いますよ。一般人です」 「ほほう。そりゃいいものを見させてもらったわい。冥土の土産になりそうじゃ」 「あらやだ。お口がお上手ですね。そう言って貰えて光栄です」 うーちゃんが花が咲くような笑顔を向けると、お爺さんの顔がほのかに赤くなった。 照れたのが分かり、私は内心可笑しくなった。 魔性の女、ここに君臨。 うーちゃんの笑顔は誰をも魅了する。 うーちゃんのストライクゾーンは実に幅広い。 それは子供からお年寄りまで様々で、彼女に魅了される人は星の数ほどいるんじゃないだろうか? だってさっきから周りのおじさま方の視線を独り占めしてる。 彼女が耳に長い髪をかける仕草を見せる度、多くの視線が集まる気配がするのはきっと気のせいじゃない。 ふふ… だけどね、皆さん騙されてますよー だって彼女は女性であって女性じゃない。 戸籍上は「♂」これ、なわけで。実は男性なのだ。 なにを隠そううーちゃんはニューハーフだから。
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