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「マジ?加奈チャンと別れたの?」
山下が大袈裟に声を上げた
「そ。もう色々めんどくさくて」
俺は帰り支度をしながら淡々と答える
「松永にしては真面目に付き合ってると思ったのに。
なんで別れたんだよ?」
「最近会ってくれないだの、他に好きな人でもいるのかだの、うるせーからさ。
俺からふった」
「うげー!最悪。
これだから顔がいい男は。
加奈チャンいい子だったのにかわいそー」
加奈との出会いは大学だった
学生時代はそれなりに上手くいっていた俺達だったが、就職してからはすれ違いやケンカが絶えなかった
度重なる束縛にも似た追求に、俺が限界を迎え別れを告げたのだ
「でもさ、加奈チャンと別れたなら暇だろ?
もっとサッカーしにこいよ。
お前がいるといないじゃ勝率全然違うんだからさ」
さっきまで加奈を憐んでいた山下が調子良く言った
「ムリムリ。
会社の先輩のチームもあるし、部長にもゴルフに誘われてるから。
こう見えて忙しいんだよ、俺は」
「会社と俺と、どっちが大事なのよ!」
ふざけたことを抜かす山下を無視し、俺はさっさとグラウンドを後にした
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