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今日は初めてのデートだ。
待ち合わせの場所には彼女より早く着こう。
それが鉄則だ。何が起こるか分からないから、30分前には着いていよう。
会ったらこちらから先に笑顔で挨拶だ。優しい眼差しと、笑った口元からこぼれる白い歯が必要だ。
そして、今日の日程を手短に話すことで安心感を与えよう。行く先の見どころと美味しいランチの店をさりげなく話そう。
このシミュレーションを何度も頭の中で繰り返した。しかし、まだ不安が残る。
そうだ、モテ太郎に相談してみよう。
※
「おまえバカじゃねーの」
「デートってのはな、お前のありのままを見せりゃいいのさ。カッコつけてる暇なんかねーだろ。どうせ、思ったとおりは進まないぞ」
モテ太郎はきっぱり言った。
そうだよな、オレは初めから失うものなんか何もない。オレの好きなように振る舞えばいいのか。
※
「お待たせしちゃった?」彼女が快活に笑顔を見せる。
オレは一目散に彼女にかけより、抱きついた。そしておもいっきり彼女の顔をなめた。
「あら、元気で可愛いワンちゃんね」
「はい、いい子いい子。私もチュウしちゃおうかな」
「チュッ」
やっぱりオレは、ありのままで良かった。
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