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店のドアを開ける。
「いらっしゃい!」
ドアベルの音とともに店主の声が響いた。
「カウンター席で」
「あいよ!」
店員に連れられてカウンター席に座る。
休日の昼時だからか学生客の多い店内はいつもより騒がしい。
「ご注文は?」
「塩ラーメンをひとつ」
厨房に消えていく店員を見送り、後ろのサーバーから水を注いだ。
冷え切った水は乾いたのどを潤していく。
壁の営業許可証をチラリと見る。
相変わらず期限は平成36年だ。
永遠に訪れないその年を見てクスリと笑う。
平成はもう訪れない。
年号は平成から令和へと変わったから。
天皇存命のうちに年号が変わるということで大騒ぎだったあの時を思い出す。
今はもう落ち着き、着実に新しい年号は世界に浸透していく。
「はい、塩ラーメンお待ち!」
目の前に置かれたラーメンのにおいをめいいっぱい吸い込んだ。
スープを飲み、麺をすすり、にんにくを入れる。
そしてもう一度麺をすすった。
ほぅ、と一息つく。
うん、令和のラーメンも美味い。
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