詩「空に寄りかかって」

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白と黒の 手乗り文鳥は 少年のてのひらの上で 空になった 枯れ葉が震えるように 細い手ですくいあげる 羽と 白、 黒 ほんの少し前の現在、または思い出の 干からびた夜を 自身の胸にあてて トクントクンと なにかが燃えるように どこかに歩いていくかのように 期待と不安が入り混じった傘をさして (青)空、 その向こう側に 宇宙か、 天国 うん 覚えてるよ いつも手を引っ張って 買い物につき合わせていた 茅の輪のように痩せたおばあちゃんの横顔 カラカラの雲がベッドの向こう側に流れて どうしても思い出せない今際の言葉に いつか色を付けたいと思いながら あの日の裏庭に埋めたガラス細工のような青  空が 日毎にヒビ割れていくそのやりきれなさに それでも明日の喉は渇いて、 渇いて……、 水……  最近、筆を手にして、絵の具を前に、奇妙 な日本語のような言葉を拾えないかと、―― 夢かもしれない、まだまだ、日本晴れ、か、 それとも(青)いや、いや、しかし、――と。
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