プロローグ 日常の変化

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 テーブルの上には、黒のスマートフォンが置かれている。  すると、それが震え出す。  それに気づいたヴァノがスマートフォンを手に取って、片手で操作をしだす。  一件のメールが届いていた。  ヴァノが所属する組織、ヴィリジアのオペレーターからだった。  次の標的と思われる情報が送られてきた。  ヴィリジアとは、膨大な人間のデータが集まっている場所だ。  ヴァノはスマートフォンを操作して、テーブルに戻す。  ヴァノと直登は雨の酷い日に出会い、ある契約を交わした。  直登の感情の一部を得る代わりに、直登の刀となり楯となる、と。  直登は、他人を傷つける側になった。そして、人の心を殺す目に見えぬ刃になると、言葉でもって他人の心を闇に堕とすと、そう覚悟を決めた。  すべてを失っていた直登は、ヴァノに出会い、生きる意味を与えられた。  ヴァノは、至高の宝玉を手に入れ、肉体的な痛みを受けながら、それでも戦いに身を投じている。
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