第一章 暴力団

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 翌日、ヴァノはスマートフォンに表示される時間を見て、夜になったことを確認するや、なにやら準備を始めた。  ネックレスをワイシャツの中に隠し、ボタンをすべて留めた。クローゼットの前までいき、扉を開けた。  中には十着ほどのジャケットとワイシャツ、フードつきの外套が入っていた。  ジャケットを着たヴァノは、外套を手にして右腕に引っかけた。  抽斗の中から手袋を取り出した。  それをスラックスのポケットに突っ込んで、クローゼットの床にある隠し棚のスイッチを押す。  かちりと音がして、戸の下を持って上に引き上げる。  中に入っていたのは、一振りの日本刀と、黒の取っ手つきの四角い鞄。  それらを取り出し、隠し棚を閉めて、クローゼットから離れる。  ひとまずテーブルに鞄と外套を置いて、刀を右腰に帯びる。  外套を羽織り、スラックスのポケットに突っ込んだ手袋を取り出して、嵌める。  黒ずくめの恰好(かっこう)をしたヴァノは、黒の取っ手つきの鞄に手を伸ばし、中身を取り出す。  中に入っていたのは、表紙に文字が書かれた、古く、分厚い焦げ茶色の本だった。なんと書かれているかは不明だが。  ヴァノは、本をペラペラとめくった。  本の中には、数多くのさまざまな色をした宝玉が、収められていた。  これは、ヴァノの魔導書だ。  至高の宝玉には劣るが、質の悪い宝玉でも、少なからず、エネルギーは宿っている。  ヴァノは、人間達からより多くの宝玉を集めるために動いている。  つまり、より多くの人間を殺している。  生かしておく方が惨いことになると、分かっているからだ。  直登は例外だ。偽りの感情で誤魔化せている部分もあるだろうが、負の感情はまだ残っている。  いつになるかは分からないが、直登の感情すべてを宝玉にしなければと思うヴァノだった。  魔導書を閉じて、鞄に仕舞うと、一階へ下りた。
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